「生き物を飼育してみたい」「癒しのインテリアとして水槽を置きたい」など、水槽を設置する理由は様々です。
しかし、水槽の設置は想像する以上に部屋に影響を与えますので、メリット・デメリットをよく理解した上で設置するようにしましょう。
主なメリットとしては、生き物を飼育できたり、インテリアになって鑑賞性が上がったりなどが挙げられます。一方で、スペースが必要、水漏れや床への負担といったデメリットもあります。
また、設置環境が水槽に与える影響も考慮しなければなりません。
ここでは、水槽が設置環境に与える影響とメリット・デメリットと、設置環境が水槽に与える影響を合わせて解説します。
水槽は設置環境に影響を与える?
水槽は大きく目立つものです。また水を大量に扱いますので、設置すると部屋のイメージや湿度に影響があると考えられます。
まずは、水槽を設置することで起こる影響について解説します。
アクアリウム水槽は設置空間のイメージを変える
アクアリウム水槽を置くと、設置空間のイメージが大きく変わります。
色とりどりの魚が泳いでいたり、美しい水草が茂っていたりなど、空間が華やかに見えますし、凝った作りの水槽ならばインテリアとして扱われることも少なくありません。
また、水槽はどんな家庭にもあるわけではない珍しいものなので、訪れた人の目を引く効果もあります。部屋に水槽があったら思わず近寄ったり、話題に出したりする人は多いのではないでしょうか。
飼育する熱帯魚の種類や水槽レイアウトの仕方によって、幻想的な雰囲気やナチュラルテイスト、強くシックなイメージなど、印象を変える事も可能です。アクアリウムはとてもは目立ちますので、水槽のレイアウトが部屋全体のイメージを決定づけるといっても過言ではありません。
湿度に若干の影響を与える
水槽は水が入った大きな箱ともいえるため、湿度が上がります。
特に冬場の熱帯魚水槽の場合は、水槽用ヒーターで加温していることもあって、部屋と水槽の温度差が大きく水が蒸発しやすいです。
とはいえ、湿度を保てるほどではなく調節することもできないため、加湿器のように扱うことはできません。あくまで副次的な効果といえます。
水槽設置のメリット
ここからは、水槽を設置するメリットを3つご紹介します。
- 部屋の中で魚や生き物を飼育できる
- 部屋を彩るインテリアになる
- 楽しい趣味になる
水槽を置く目的ともいえるので、詳しく解説していきます。
部屋の中で魚や生き物を飼育できる
水槽を置くことで、さまざまな生き物を飼育することができます。
- 魚:淡水魚、海水魚
- 爬虫類:トカゲ、ヘビ、カメ
- 両生類:カエル、イモリ
- 甲殻類:エビ、カニ
- 貝類:淡水貝や海水貝
この他にも、たくさんの種類の生き物を飼うことができます。特に魚や水生生物の場合は、照明やろ過器などを使って自然に近い環境を再現することができ、まるで現地にいるような癒しを得られたり、お子さんと一緒に生体観察をしたりといったことが可能です。
魚や生き物の飼育に難しいイメージを持っている人もいるかもしれませんが、メダカなどは飼育から繁殖まで簡単に楽しめるので年齢問わず人気があります。
部屋を彩るインテリアになる
水槽はその鑑賞性の高さから、インテリアとして扱われることもあります。
部屋を彩ることを目的とした『インテリア水槽』と呼ばれるジャンルがあるほどです。熱帯魚や水草、サンゴなど、魅力的な生き物を照明でライトアップした水槽の美しさは他では表現できません。
下記のようにアクアリウムを楽しめることを付加価値とした住宅もあります。
楽しい趣味になる
「趣味として楽しいから」という理由で水槽を管理している人も多いのではないでしょうか。
魚や水草の成長はもちろん、全体的に美しく変わっていく水槽に達成感が得られますし、
- 俯瞰的な視点
- 全体を把握する力
- デザイン性
といった力が育まれるメリットもあります。
また、メダカや金魚、繁殖が簡単な熱帯魚などは、繁殖や品種改良が楽しめるのも大きな魅力です。
繁殖に慣れて安定して増やすことができるようになれば、増やした魚を売ってブリーダーとして活躍する方もいます。好きで始めた趣味で利益を得られるというのは夢のある話ですね。
水槽設置のデメリット
水槽を設置するメリットをご紹介してきましたが、デメリットも存在します。
- スペースが必要
- 水漏れや床への負担
- 電気代がかかる
などはアクアリウムに付き物なので、設置する前に考えておく必要があります。
スペースが必要
水槽は、配線や通気性を確保するために壁と密着させずに設置します。
水槽の大きさよりも広めの設置場所が必要なので、居住スペースを圧迫してしまうことがあります。水槽台の高さも考えると、専用スペースを確保しないと設置は難しいでしょう。
設置場所の確保が難しい場合は、30cm以下の水槽やボトルアクアリウムといった小さなアクアリウムから始めるのも1つの手です。
水漏れや床への負担
水槽は多量の水を入れて運用するため、非常に重くなることがあります。
一般的な60cm水槽(W600×D300×H360mm)であっても、照明や水槽台などを含めると80kgを超えることも珍しくありません。さらに長期間設置するので、水漏れの心配や床への負担は大きいです。
水槽を導入する場合は、床の耐荷重を確認してから設置するようにしましょう。
水槽の重さと床の耐荷重については、こちら記事で詳しく解説しています。
電気代がかかる
水槽周辺の機材として照明やろ過フィルターはもちろん、時期によって水槽用ヒーターやクーラーを使用するため電気代がかかります。
水槽の大きさと飼育環境にもよりますが、60cm水槽(W600×D300×H360mm)を例に挙げると、1ヶ月に1000~3000円程度が一般的です。特に水槽用ヒーターとクーラーを使用すると、顕著に電気代が上がります。
水槽を断熱材で覆ったり、エアコンを使って室温ごと管理したりすることで、電気代を抑えることはできますが、水槽を置くことで支出が増えるのは避けられません。
水槽の電気代については、こちらの記事で詳しく解説しています。
水槽に影響を与える!外的要因
水槽を設置することで空間に与える影響について解説していきましたが、今度は反対に、設置環境が水槽に与える影響についてです。
水槽は影響を与えるばかりでなく、部屋から影響を受けることもあります。
設置環境によって、水槽が劣化したり、魚がストレスを受けたりするため、外的要因はできるだけ避けることが重要です。
気温
気温(室温)は、水槽の水温と生体の健康状態に影響します。
魚は水温の変化によって活動量が変わる変温動物なので、適水温でなければ体調をくずしてしまうことも少なくありません。例えば、26度程度が適水温の熱帯魚が、水温が20度を下回ったり、30度を超えたりするような環境に置かれるのはとても過酷で、命を落とす危険すらあるのです。
気温の影響を防ぐ方法としては、水槽用ヒーターやクーラーの使用が一般的です。また、アクリル素材の水槽の場合、アクリルは高温や紫外線に弱く変形してしまう可能性がありますので、直射日光の当たる気温が上がりやすい場所には設置しない方が良いでしょう。
部屋の汚れ
部屋があまにも汚れていると、水質に悪影響を与えることがあります。
多少のホコリなどは問題ありませんが、水槽の周辺に置いた物が誤って落ちてしまうと雑菌を入れてしまうことになります。水槽台のカビなどにも注意しましょう。
また、水槽周りは何かと電源が必要なものが多く、埃がたまっていると火災や漏電などのトラブルが発生する危険があります。水槽の中だけでなく、水槽周りも定期的に掃除して清潔に保つことが大切です。
直射日光
直射日光は、水槽にとってデメリットといえます。
ガラス・アクリル問わず水槽を劣化させて寿命を縮める原因です。ガラス水槽では、接合部のシリコンが劣化しますし、アクリルでは水槽自体が悪影響を受けます。
また、コケが発生しやすかったり、水温が上がりやすかったりなど、飼育環境としても良くないため、直射日光を避けて水槽を設置するようにしましょう。
騒音
騒音は、水槽内の魚にストレスを与えます。
大きな音は水槽と水を通して魚に伝わってしまうため、テレビやドアの近くなどは避けた方が良いです。特に急に大きな音がすると、魚がパニックを起こして流木や岩に体をぶつけたり、水槽から飛び出したりすることもあるので危険です。できるだけ人通りの少ない静かな場所に設置することで、魚たちも落ち着いて穏やかに生活することができます。
振動
振動も魚のストレスとなるため、扉の近くなどの振動しやすい場所に水槽を設置したり、故意に揺らしたりするようなことは避けてください。
水槽が揺れることで、水槽の中にレイアウトした岩やライブロックなどが崩れて、水槽の破損につながることもあります。崩れたレイアウトに魚が挟まれて怪我をしてしまう危険もありますので、水槽が振動しないよう工夫をしておくと安心です。
振動対策としては、耐震ストッパーや免震マットを使うのが一般的です。これらの対策は水槽の地震対策としても役に立ちます。
まとめ:水槽の影響とは?設置環境に与えるメリットやデメリットを解説!
今回は、水槽が設置環境に与える影響とメリット・デメリットをご紹介しました。
水槽はインテリアになったり、魚や生き物を飼育できたりなどメリットが多く、趣味として楽しむ人も少なくありません。ただ、居住スペースの圧迫や水漏れ・床への負担、電気代などデメリットがあるのも事実です。
水槽を部屋に設置する場合は、水槽を置いた後のことをイメージして考えられるメリット・デメリットを加味したうえで判断するようにしましょう。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。