品種改良が盛んなメダカにはたくさんの品種がいます。その中でも一際華やかで、鑑賞性が高多いのが『ヒレ長メダカ』です。
ヒレ長メダカは、長く伸びたヒレが美しいメダカの総称で、体色やヒレの形、その他の特徴から品種が細分化されています。
メダカなので初心者でも飼いやすい魚ではありますが、水流に配慮する必要があるなど、ヒレ長メダカならではの飼育ポイントがありますので、飼育する際にはよく確認しておきましょう。
今回は、ヒレ長メダカの特徴・飼育のポイントとおすすめの改良メダカ5選をご紹介します。
「ヒレ長メダカについて知りたい」「観賞性の高いメダカを探している」という方は、ぜひご一読ください。
メダカの種類・品種解説やメダカの飼い方についてはこちらもご覧ください。(弊社運営外部サイトを開きます)
ヒレ長メダカとは
まずはヒレ長メダカの特徴と魅力をご紹介します。
普通のメダカと見分けるポイントも解説するので、ご覧になってみてください。
ヒレの長い改良品種
ヒレ長メダカはその名の通り、長いヒレが特徴の改良メダカです。稚魚や幼魚の時は特徴が現れにくいですが、成長するにつれて長くヒレが伸びていきます。
普通のメダカと比べて明らかにヒレが長いので、一目で見分けることが可能です。
ヒレ長メダカは大きく分けて、ヒレ先が均等にまっすぐに伸びるものと、ヒレの一部のみが伸びるものに分けられます。
ヒレが均等に伸びるメダカは作出者の名前から『松井ヒレ長』とも呼ばれ、洗練された美しさが魅力です。
対してヒレの一部が伸長するメダカは、同様の特徴を持つ『スワローメダカ』の性質を併せ持つ個体で、長さの不揃いなヒレが独特の優雅さを醸し出します。
ヒレ長メダカのヒレが伸びるこの形質は、劣性遺伝で繁殖に手間がかかることから、高値で流通することも少なくありません。
ヒレ長品種の魅力
ヒレ長メダカの魅力は、なんといっても長くたなびくヒレです。
体の動きから少し遅れてユラっと広がるヒレが優雅で、ずっと見ていられる美しさがあります。また、ヒレが長いことで通常のメダカよりも体が一回り大きく、見ごたえがあるのも特徴です。
品種によっては長いヒレにさらに色がのり、目を見張るほど美しいメダカもいます。
ヒレ長の改良メダカの飼育ポイント
ここからは、ヒレ長メダカを飼うために欠かせない飼育のポイントを解説します。
ヒレが長いことで水流に弱かったり、餌への食いつきが遅かったりするので、事前に確認しておくと飼育がスムーズにいきやすいです。
水流にはあまり強くない
ヒレが長いことで水流の影響を受けやすいため、ろ過フィルターやエアレーションによって発生する水流には気を配る必要があります。
室内飼育でスポンジフィルターや上部フィルターを使っている場合は、吐出口を壁面に向けるなどして水流を弱めに調整しましょう。外掛け式フィルターであれば、流量を調節できるものがおすすめです。
また、投げ込み式フィルターやエアレーションのみでも水流は発生します。機材は水槽サイズに合ったものを選び、過度にパワーのあるエアーポンプは控えた方が良いでしょう。
レアな品種は広い容器で飼育しよう
他の品種にも共通しますが、レアな品種を飼育する場合にはなるべく広く余裕のある容器や水槽で飼育します。
水質・水温変化による影響を減らせるだけでなく、他のメダカに追いかけられたり、つつかれたりなどの小競り合いが起きても、逃げるスペースを確保しやすいです。
また、スペースが広ければ産卵したときに卵が他のメダカに見つかりにくく、繁殖率を上げることにもつながります。
飼育容器の中に水草を入れると、隠れ家になりますし、産卵床としても役に立つのでおすすめです。
外敵・盗難対策について
ヒレ長メダカはとくに目立つので屋外飼育の場合は、鳥や猫などの外敵や盗難に気を付けましょう。
- 網や金網を被せて外敵を防ぐ
- 人目の少ない場所に飼育容器を置く
- 防犯カメラを設置する
といった方法が効果的です。最近では、天気・気候の急変や外敵からメダカを守れる、ビニールハウスの中でメダカを育成する愛好家も増えています。
メダカを外敵から守る方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
ヒレ長メダカの混泳
ヒレ長メダカと、他品種のメダカや小型魚の混泳相性はそれほど悪くありません。
ただ、ヒレ長メダカは泳ぎがややゆっくりしていて、餌を食べるペースが遅いため、普通体型のメダカや他魚種と飼育すると餌が食べられないことがある点には注意が必要です。
全体に餌が行き渡っているか、都度確認しながら餌やりをしましょう。
同じヒレ長品種との混泳であれば、特に問題ありません。
メダカ以外の魚や生き物と混泳させたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
ヒレ長の改良メダカ5選
ここからは、ヒレ長のおすすめ改良メダカを5種類ご紹介します。
長いヒレを持ちつつ、
- 体色
- ヒレの形状
- 鱗(ラメ)
など、他の特徴を併せ持った品種をご紹介するので、ヒレ長系のメダカをお探しの方はご覧になってみてください。
天女の舞
均等にヒレが伸びやすい『松井ヒレ長』と青白い体色・背中の輝きを持つ『青幹之メダカ』の特徴を併せ持つ改良品種です。
体だけでなくヒレにまで色が乗るため、ヒレ長の魅力をとくに感じられるメダカです。その美しく優雅な様から”天女“という名前が付けられました。
サタンメダカ
体色が深い黒に染まる『オロチ』と『ヒレ長』を掛け合わせて生まれた品種です。
黒い体色と長いヒレが相まって、存在感と迫力があります。
メダカは飼育環境によって体色が変化する魚ですが、オロチメダカの性質を持つサタンメダカは周囲に影響されることなく、真っ黒な体色を維持することができます。
青幹之ヒレ長スワロー
『青幹之』と『ヒレ長スワロー』から作出されたメダカで、両品種の特徴を色濃く引き継いでいます。
体色と背中の輝きは青幹之そのものですが、長いヒレにスワローの特徴である一部が伸長した不揃いなヒレを併せ持っています。各ヒレに淡く体色が乗り、泳ぐ姿がとても美しい品種です。
紅帝ヒレ長
朱赤系のなかでも、とくに赤みが強い『紅帝』と『ヒレ長』から生まれたメダカです。
紅帝はヒレまで赤いためヒレ長との相性が良く、目を見張る美しさがあります。朱赤系でとくに観賞性の高いメダカを飼育したい方におすすめです。
松井ヒレ長3色ラメ
『松井ヒレ長』と』『3色ラメ』から作出された品種です。
3色ラメは、赤・白・黒の体色と光沢のある鱗を持つ人気のメダカですが、さらにヒレが伸びることで美しさが増しています。
体色や模様・ラメのバランスが整った3色ラメを維持することは難しため、きれいな松井ヒレ長3色ラメメダカを繁殖させる難易度はかなり高いです。
まとめ:ヒレの長いメダカとは!おすすめの改良メダカ5選と飼育ポイント
今回は、ヒレ長メダカの特徴・飼育のポイントとおすすめの改良メダカ5選をご紹介しました。
ヒレ長メダカは美しく長いヒレを持つことから、人気が高い品種の1つです。ただ、長いヒレが影響して水流が苦手なので、ろ過フィルターの吐出口の向きやパワー(流量)には配慮してあげましょう。
また、他の品種を掛け合わせることで、体色やヒレ、鱗などに美しい特徴を持ったヒレ長メダカもたくさん存在します。ヒレ長メダカは美しいメダカの代表格といっても過言ではありませんし、飼い込むことで迫力が出るので、メダカ飼育を楽しみたい方にとくにおすすめの品種といえます。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。