「給餌」は魚が栄養を摂取するために必要不可欠で、飼育者にとっても楽しい時間です。
実はメリットはそれだけではなく、適切な給餌は魚の体調管理や水質の悪化を防ぐことにもつながります。
毎日行うことなので、ちょっと変えるだけで大きな変化を生むことも少なくありません。大切な魚を末永く飼育するためには、ぜひ習得したい技術といえます。
そこで、今回は魚に餌を与えるコツ3個と、飼育水を汚さない給餌方法を餌のタイプ別に解説します。
魚に餌を与えるコツ3個
魚に餌を与える際は以下のコツ3個を意識してみてください。
- 食べ残しの無い量が適量と考える
- パッケージの規定量を限度と考える
- 冷凍餌は人工餌と交互で与える
どれも大切なことですが、意外と忘れがちです。順を追って解説していきますね。
食べ残しの無い量が適量と考える
給餌するときは「食べ残しの無い量が適量」と考えましょう。
具体的には1~2分程度で食べきれる量で、長くても5分以内が目安です。これ以上は余剰になりがちで、食べ残しや水質の悪化につながります。
ただし、食べる速度は魚種によって異なるため、お腹の膨らみ方や食後の消化具合も確認しながら調整すると良いでしょう。一度基準ができると、「いつもより食べる早さが遅いから体調不良かも」といったように異変に気付くこともできます
パッケージの規定量を限度と考える
餌のパッケージには規定量が記載されていますが、これは給餌量の限度と考えましょう。
コリドラスやプレコ専用の餌のように1種に向けたものであればまだ良いのですが、小型熱帯魚用だったり肉食魚用だったりなどすると、さまざまな魚種を対象としているため、規定量は多くなりがちです。
少なめであれば問題ありませんが、超えると魚の健康を害したり、食べ残しによる水質の悪化につながったりすることも少なくありません。あくまで規定量は限度にして、先ほどお話しした食べ残しの無い量をふまえて給餌することが大切です。
冷凍餌は人工餌と交互で与える
冷凍餌や生餌は、これだけを与え続けるのではなく人工餌と交互に与えるようにしましょう。
同じ餌ばかりでは栄養が偏ってしまい健康面で良くありません。特に稚魚・幼魚期には奇形につながる可能性もあるので要注意です。
一方で、人工餌は栄養バランスを考慮して作られています。しかし、嗜好性は高くないことから、冷凍餌や生餌をやりつつ人工餌で栄養を補うとバランスが良いです。
餌のタイプ別!飼育水を汚さない給餌方法
魚に餌を与えるコツをふまえて、ここからは餌のタイプ別に飼育水を汚さない給餌方法をご紹介します。
- フレークタイプ
- 顆粒タイプ
- タブレットタイプ
- 冷凍餌タイプ
- 生餌タイプ
それぞれ形状や沈む速さに違いがあるので、少し与え方を意識するだけで食べ残しを減らし水質の悪化を防ぐことができます。
フレークタイプ:水が黄ばみやすい?!
フレークタイプの餌は小型熱帯魚に与えることが多い人工餌です。
表層に浮いて沈まない、もしくは沈む速度が遅いため、水を汚しにくいメリットがあります。しかし、なかには着色料が使用されている製品があり、与えすぎると水が黄ばんでしまうことも。
沈んで食べ残しになる心配が少ないので、一度にたくさん与えるのではなく食べ具合を見ながら少しずつ給餌すると良いでしょう。
顆粒タイプ:沈んで食べ残しになることもある
顆粒タイプの餌もフレークタイプと並んで一般的な人工餌です。
この餌は沈む速度が速く、一度に与えすぎると食べ残しになることも少なくありません。給餌する際は少なめを意識して、食べ切れそうなら追加するようにします。
特にベタなどの食べる速度が遅く沈んだ餌を食べにくい魚種の場合は、食べるのを確認しながら1粒ずつ与える方法もおすすめです。また、混泳に問題なければ、
- コリドラス
- クーリーローチ
- ヤマトヌマエビ
- ミナミヌマエビ
といった底で食べ残しを食べてくれるメンテナンスフィッシュの導入も良いですよ。
タブレットタイプ:素早く沈むタイプが良い!
コリドラスやプレコの人工餌で多いのがタブレットタイプです。
底物を対象とした餌なので、他のタイプとは違って素早く沈むようにできています。こちらは、1個ずつ与えていると他の魚と奪い合いになることも多いため、飼育数に合わせて一気に与えましょう。
まとめて給餌すると食べ残しが心配かもしれませんが、水を吸って柔らかくなった表面からゆっくり食べるので、水中で広がって水を汚す心配もありません。
最初に与えてみて食べるのに時間がかかるようであれば減らす、早く食べ切ってしまうなら増やす、といった具合に調整すると良いです。
冷凍餌タイプ:ドリップ(解凍液)に注意!
冷凍赤虫や冷凍ブラインシュリンプなどの冷凍餌タイプはドリップ(解凍液)に注意しましょう。
冷凍餌のドリップは魚の餌にならないうえに、水を汚す原因になります。
面倒で冷凍餌をそのまま水槽に入れてしまうケースを見かけますが、解凍してから与えた方が飼育水は汚れにくいです。また、解凍しきれていない餌を与えると消化不良につながることもあるので、おすすめしません。
生餌タイプ:一度にたくさん与えない!
肉食魚に与える餌として、
- 金魚
- メダカ
- エビ
といった生餌を与えることが多いです。
よく水槽に大量の生餌を投入している光景を見かけますが、これは肉食魚を過密飼育している場合に餌を行き渡らせるためなので、大型のろ過設備とこまめなメンテナンスができない環境ではおすすめしません。
食べ残しが死んで水質が悪化してしまうこともあるため、確実に食べ切れる量を与えましょう。単独飼育であれば生餌を1匹ずつ与えるのもおすすめです。
まとめ:魚に餌を与えるコツ3個!飼育水を汚さない給餌方法を餌のタイプ別に解説
魚に適量の餌を与えることは一見簡単に見えますが、意外とコツがいるものです。
- 食べ残しの無い量が適量と考える
- パッケージの規定量を限度と考える
- 冷凍餌は人工餌と交互で与える
この3個の考え方を念頭に置きつつ、餌のタイプ別に適した給餌方法を実践してみてください。
習得できれば、
「餌の過不足による体調不良」
「食べ残しによる水質悪化が原因の体調不良」
この2つを防ぐことができるので、効果は大きく大切な魚の長生きにもつながります。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。
ヒメダカを教室で飼っているので、とっても参考になりました。
これらのことを参考にして長生きできるように、
いお世話していきたいと思います。