アクアリウムで使用する水槽用ヒーターは、冬場でも熱帯魚を飼育できるようにする便利な飼育器具です。
四季がある日本では水温の変化が激しく、安定させるために導入している人も多いのではないでしょうか。
しかし、水槽の種類・形状によっては水槽用ヒーターの使用が危険につながることもあります。
魚のやけどや最悪の場合は火災を引き起こすこともあるため、つけて良い環境かそうでないか見極めなければなりません。
そこで、今回は危険な理由をふまえて、水槽用ヒーターをつけて良い水槽とダメな水槽を解説します。
水槽用ヒーターをつけて良い水槽とは
水槽用ヒーターをつけて良い水槽は、簡単にいうと「普通の水槽」です。
ショップや通販でアクアリウム用として販売されているものであれば問題ありません。もう少し具体的なポイントを挙げると、
- 既定の水量と水深が確保できる
- プラスチックなど熱に弱い素材を使用していない
など、水槽用ヒーターが水面に露出する可能性が低い、もしくは熱によって変形しないことが条件です。
また、特に問題がない水槽でもレイアウト物が干渉するような環境は、適しているとはいえません。
水槽用ヒーターをつけてはダメな水槽例
水槽用ヒーターをつけてはいけない水槽は以下の5つです。
- 底が浅い水槽
- 熱に弱い素材の容器や水槽
- 飼育魚の泳ぐスペースが狭い水槽
- 水が循環していない水槽
- 水槽用ヒーター付近に障害物が多い水槽
1つでも当てはまっていると危険なので、大事になる前に対策しましょう。
底が浅い水槽
底が浅い水槽は水量が少なく、水が蒸発して水槽用ヒーターが露出してしまう危険性があります。
特に開口部が広いタイプは、より蒸発しやすいので要注意です。また、底床を極端に厚く敷いたり、過剰に石や流木といったレイアウト物を入れたりすることでも水量が少なくなります。
普通の水槽でもフタをしていないと蒸発するペースが早まるので、フタは必須です。
熱に弱い素材の容器・水槽
熱に弱い素材の容器や水槽は変形してしまう危険性があるので、水槽用ヒーターを使わないようにしましょう。
水槽に使われる材質ではガラスやアクリルが一般的です。ガラス製であれば熱に強いため、通常の使い方であれば影響を受けることはありません。
アクリル製でも問題ありませんが、直接触れる状態が長期間続くと変形したり破損したりしてしまう可能性があるので、キスゴムなどで設置するようにしてください。
これら以外の材質の水槽や飼育容器では、安全性を考えると水槽用ヒーターを使わない方が良いです。
- 100均のプラ容器
- トロ箱
- 発泡スチロール
- バケツ
といった飼育容器でメダカや一時的とはいえ、熱帯魚を飼育している場合はリスクが高いといえます。
飼育魚の泳ぐスペースが狭い水槽
飼育魚の泳ぐスペースがない狭い水槽では、水槽用ヒーターに魚が接触してやけどやけがをすることがありあます。
特に小型水槽で大きな水槽用ヒーターを使っているケースは危険です。
水槽のサイズに合ったものを使用することを前提に、水槽のサイズを大きくしたり、レイアウトを減らしたりなどして泳ぐスペースを確保してあげましょう。
水が循環していない水槽
ろ過フィルターがなく水が循環していない水槽では、場所によって温度勾配ができます。
部分的に加熱されて温度差ができると、水槽の材質によっては変形や破損につながり良くありません。
また、水槽内に温度差があると魚にとっても悪影響なので、水槽用ヒーターはろ過フィルターとセットで使うようにしましょう。
水槽用ヒーター付近に障害物が多い水槽
水槽用ヒーターの付近にレイアウト物や水草といった障害物が多い水槽は要注意です。
熱によって溶けたり、焼けたりして危険なだけでなく、水質にも悪影響をおよぼします。水草が接触すると枯れることも少なくありません。
トリミングを怠ると知らないうちに繁茂して、水槽用ヒータに干渉してしまっていることもあるので、定期的なメンテナンスが大切です。
水槽用ヒーターが危険になる理由
水槽用ヒーターをつけてはダメな水槽例をご紹介してきましたが、ここからは水槽用ヒーターが危険につながる理由を解説します。
具体的には以下の3つです。
- 発熱で火災になるケースもある
- 水面への露出は絶対にNG!
- 魚のやけどにも注意
熱帯魚を飼い始めたり、冬場から水槽用ヒーターの導入を検討したりしている方は、安全にアクアリウムを楽しむためにも目を通してみてください。
発熱で火災になるケースもある
水槽用ヒーターが危険な理由は、なんといっても「発熱する」ことです。
熱は火災につながることはもちろん、使用方法を誤ると魚や樹脂英製の水槽に大きなダメージを与えてしまいます。水中にあると発熱が確認しにくいですが、「発熱=危険」という意識は常に持つようにしましょう。
水面への露出は絶対にNG!
水槽用ヒーターが火災につながる場面で、1番多いのが「水面への露出」です。
飼育水の蒸発はもちろん、水換えの際に目を離して水を抜き過ぎたり、子どもやペット(犬や猫)がコードに引っかかって露出したりして火災になったケースもあります。
特に古いタイプは水面から露出すると400度近い温度に達することもあるため、とても危険です。現行モデルには「空焚き防止機能」が備わっているタイプもあり、通電したまま水面に出すとヒューズが断線して加熱が止まるので安全性は高まっています。
ただし、機能が働くと再使用することはできません。
魚のやけどにも注意
水槽用ヒーターは火災だけでなく、魚がやけどする原因にもなります。
特にヒレが長いベタなどは、ヒレが当たって大やけどを負うことも。また、狭い隙間に入りたがる小型魚やエビも少なくないので、カバーのあるタイプを使用したり、底から浮かすように設置したりして、接触を防ぎましょう。
まとめ:水槽用ヒーターをつけて良い水槽とダメな水槽とは!危険な理由を解説します
水槽用ヒーターを使用することで飼育できる魚の幅は大きく広がります。
しかし、水槽用ヒーターの設置に適していない、
- 底が浅い水槽
- 熱に弱い素材の容器や水槽
- 飼育魚の泳ぐスペースが狭い水槽
- 水が循環していない水槽
- 水槽用ヒーター付近に障害物が多い水槽
といった水槽にはつけないようにしましょう。
危険性も把握したうえで、使って良い環境とダメな環境を見定めて使用すれば、火災や魚のやけどなどのリスクを避けることは難しくありません。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。