メダカは繁殖しやすい魚で、初心者からベテランまで誰でも繁殖を楽しむことができます。
普通に飼育しているだけでも、卵を生むことはありますが、思うように繁殖しなかったり、卵が育たなかったりする場合は、水温や日照時間といった『繁殖条件』を整えてみると良いでしょう。
繁殖条件を整えれば、繁殖回数や卵の数が増えて、ただ飼育しているときよりもたくさんの稚魚を残せるようになります。
ここでは、メダカを効率よく繁殖・増やす方法をご紹介します。思うように数が増えない、効率よく繁殖させて品種改良などに挑戦してみたいといった場合に参考にしてみてください。
メダカが繁殖しやすくなる条件
メダカが繁殖しやすくなる条件は、次の3つが大きく関係します。
- 水温
- 日照時間
- 栄養状態
どれか1つ欠けても繁殖しなくなる、もしくは繁殖回数・産卵数が減ってしまう可能性が高いです。効率よく繁殖させるために必要なことなので、具体的に解説していきます。
水温が20度以上
メダカの繁殖に適した水温は20~26度です。
18度程度でも繁殖することはありますが、18度はメダカが活動的になるギリギリの水温であり、ここから少しでも水温が下がれば繁殖しなくなります。
逆に30度を超えるような高水温ではメダカが消耗しやすく、活発に繁殖するような状況にはなりづらいです。
低水温、高水温の環境下では卵の孵化率も良くありませんので、水温は20度以上、できれば25度前後に調整しましょう。
1日13時間以上、日光・照明を浴びせる
日照時間は13時間以上がおすすめです。
メダカは日照時間の長さによって繁殖期を判断します。5~10月に繁殖しやすいのは、水温が上昇すると同時に日照時間も長くなるためです。
屋外飼育なら日の当たる場所に飼育容器を置いて日照時間を確保しましょう。室内飼育の場合は、日光が入らないので照明で管理します。
しかし、点灯時間が長すぎるとメダカが休めずに疲れてしまうため、夜間は消灯するなど規則正しい点灯を心がけてください。
栄養状態が良い
繁殖するためには体力を使うため、メダカの栄養状態が良いことも重要です。
栄養状態が悪いと繁殖回数が減ったり、産卵数が減少したりすることも少なくありません。メダカの栄養は餌の量に左右されるため、繁殖を狙うのであれば1日2~3回、餌やりをしましょう。1回の量は2~3分で食べ終わる量が目安です。
繁殖重視であれば1日5回程度与える場合もありますが、水が汚れやすくなるのでメンテナンスの頻度は高くなります。
繁殖に理想的な体型と餌やりについては、こちらの記事で解説しています。
メダカのバイオリズムを考える
メダカを効率よく繁殖させるためには、バイオリズムを整えることも大切です。
バイオリズムとは、
- 日中に活動して夜間は寝る
- 季節(水温)によって活動量が変わる
といった生体の周期を指します。バイオリズムについて知り、メダカの状態にあった餌やりや温度管理をすることで、より健康な状態を維持しやすくなります。
メダカは早朝に産卵する
メダカの産卵は早朝の4時あたりに行われます。
朝起きて産卵床を確認すると、「すでに卵が産み付けられていた」といった経験はありませんか?メダカは1日中産卵しているわけではないため、昼夜をはっきりさせて産卵のリズムを作るようにしましょう。
屋外であれば日の出・日没が決まっているので問題ありませんが、室内の場合は照明をきっちり消灯することが大切です。仕事などで決まった時間に消灯できない場合は、タイマーの使用も検討してみてください。
成長と一年間のながれ
春~夏にかけて繁殖するイメージのあるメダカ。繁殖する時期のみ環境を整えれば良いと思われるかもしれませんが、実はそれ以外の季節の過ごし方も繁殖と密接に関係しています。
例えば冬の管理がうまくいっていないと、冬眠明けの体力回復に時間がかかり繁殖期が少し遅くなってしまうことも。繁殖する時期だけにとらわれず、1年を通して四季に合った適切な環境を整えてあげることが大切です。
ここからは、簡単にメダカの成長と一年間のながれを解説していきます。季節に沿った飼育のポイントも記していきますので、ご覧になってみてください。
春~夏:産卵から大人に成長
この時期は水温が高く、メダカが一年の中で一番活発になります。餌の食べも良い時期なので繁殖を見越して大きく成長させたいならば、この季節に適切な餌やりをして大きく育てていきましょう。
ただし、30度を超える高水温になるとメダカも消耗してしまいますので、暑さ対策は入念に行ってください。
夏の間に上手に成長できなかったメダカは、繁殖どころか水温が低下する冬を越えるのも難しくなってしまうことがあります。
活動的なこの季節は、大きく丈夫に育てることを第一に管理していくと良いでしょう。
秋~冬:栄養を蓄え、冬眠
秋はメダカが栄養を蓄える時期です。
冬の低水温のなか冬眠することになるので、餌やりを怠らないようにして体格良く育てる必要があります。秋の栄養状態によって冬眠の成功・失敗が決まるといっても過言ではありません。
水温が15度以下で活性が低下して、10度を下回るようになると本格的に冬眠状態に入ります。冬眠中は餌を食べないため体力を消耗しますが、上手に世話をすることで、メダカにかかる冬眠の負担を減らして春からの飼育や繁殖につなげやすくなります。
メダカが冬眠したらあまり頻繁に手を入れるようなことはせず、最低限の足し水などをしながら様子を見守りましょう。
メダカの効率よい管理方法
メダカの繁殖を促す基本的な環境を解説してきましたが、ここからはより効率的よくメダカを管理して、繁殖や飼育しやすくなる方法をご紹介します。
繁殖ペースを速めたり、栄養状態を維持しやすくなったりするおすすめの方法ですので、基本的な繁殖に慣れてきたらこちらの方法にも挑戦してみてください。
グリーンウォーターの活用と効率的な維持方法
グリーンウォーターは、メダカの餌となる植物プランクトンが豊富に含まれた水のことです
植物プランクトンは成魚のおやつや生まれたばかりの稚魚の餌になるため、グリーンウォーターを飼育水として上手に活用できれば、効率のよい繁殖につなげていくことができます。
しかし、グリーンウォーターは適切な状態を維持するのに少しコツがいり、また悪くなった水との見分けも付きづらいため、しっかりとした知識を身に着けてから挑戦することをおすすめします。
グリーンウォーターの作り方と基本的な管理方法についてはコチラの記事を参考にしてください。
グリーンウォーターをメダカの繁殖に活用するには、植物プランクトンの濃度を保つことが重要となります。
薄まった状態では効果が半減してしまうため、
- 水中の養分が少ない
- 日照時間が短い
- 雨が入る
といった環境の変化に気を付けましょう。
グリーンウォーターに含まれる植物プランクトンは植物と同じように光合成が必要なので、濃度を保つには日光を当てることが一番効果的です。
また、植物プランクトンが繁殖するためには養分も欠かせないことから、液肥(ハイポネックス)を添加するのも良いでしょう。
ただし植物プランクトンも光合成をしない夜間には水中の酸素を消費します。グリーンウォーターの濃度が濃くなりすぎると、夜間の酸欠につながりやすいので注意しましょう。
飼育容器の底が見える程度の濃度を目安としながら、定期的に水換えをして酸欠を防ぎましょう。
人工産卵床と水草はどちらが良い?
メダカが卵を産み付ける産卵床には『人工産卵床』と『水草』があります。
どちらを使ってもメダカはちゃんと卵を産み付けてくれますが、その後の管理のしやすさや役割が異なります。効率よく繁殖させるなら使い分ける、もしくは併用することが大切です。
人工産卵床は管理・回収が楽
人工産卵床は水草のように枯れることがないため、管理や回収が楽にできます。
産み付けられた卵を別の飼育容器に隔離したい場合にもおすすめです。コケが付いたり、汚れたりしても簡単に洗い落とすことができるので、掃除の手間もかかりません。
たくさん繁殖させる場合は、人工産卵床をおすすめします。
水草は常にストックしておこう
水草は枯れることがあるので、人工産卵床のような安定感はありませんが、
- 増やして複数の容器に入れられる
- 隠れ家になる
といった特徴があります。水草はメダカ飼育に欠かせないものなので、産卵床として以外にも常に入れておきたいです。
別の飼育容器に隔離するために水草から卵を外すのは手間がかかるため、産卵床として使用するなら水草ごと別容器に隔離して、水槽には新たな水草を追加するのが良いでしょう。そのため、水草はいつでも交換できるよう増やしてストックしておくのが理想です。
加温飼育のメリット・デメリット
屋内飼育では水槽用ヒーターで加温できるので、一年を通して繁殖させることができます。
また、水温を一定に管理していれば冬眠をしないため、冬眠に失敗して死んでしまうこともありません。しかしメダカは冬眠することでたくましく成長する側面があり、また一年中活動している分、屋内飼育のメダカの方が短命になりがちです。
- 繁殖回数を増やしたい:加温飼育
- 体格や体色のよい個体を繁殖させたい:無加温飼育
といったように、それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで飼育方法を選択するようにしましょう。
まとめ:メダカを効率よく繁殖・増やす方法!バイオリズムに最適な管理とは
今回はメダカを効率よく繁殖・増やす方法をご紹介しました。
メダカは繁殖させやすい魚ですが、
- 水温が20度以上、できれば25度前後
- 1日13時間以上、日光・照明を浴びせる
- しっかり餌を与えて栄養状態を良くする
といった繁殖条件を整えることで、一段と増やしやすくなります。
さらに、春~夏は産卵と成長、秋~冬は栄養を蓄えたり、冬眠したりといったように、メダカの状態に適した餌やりや温度管理をすることも健康維持には欠かせません。
メダカを効率よく増やせたり、良い体型に育てられたりすると飼育がより楽しくなりますし、繁殖を重ねて品種改良に挑戦することのもメダカ飼育の醍醐味です。
ぜひ、ここでご紹介したことを参考に繁殖に挑戦してみてはいかがでしょうか。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。