メダカはだれもが知る有名な魚ですが、意外と知られてない生態や習性があります。
例えば群れで暮らしているメダカのなかには序列があったり、音や振動を感知する能力が優れていたりなど実は奥が深い魚です。
メダカのことをより一層理解することで、生態や習性に合った飼育環境を作りやすくなるので知っておいて損はありません。
ここでは、メダカの意外と知らない事実を5つご紹介します。
生態や習性をもとに、メダカに最適な飼育環境についても考えていきますので、ぜひ、ご覧ください。
基本的なメダカの飼い方についてはこちらもご覧ください。(弊社運営外部サイトを開きます)
メダカについて!意外と知らない事実5つ
メダカはとても身近な魚で見たことがある、飼育したことがあるという方は多いです。しかしその生態は意外に知られていないのではないでしょうか。
ここでは、メダカの意外と知られていない事実を5つご紹介します。
- 水草を食べることができる
- 序列がある
- 餌を匂いでも発見できる
- 視覚が良い
- 群れで泳いでも絶対にぶつからない
餌の種類や与え方、ケンカ、他品種との混泳など、知っておけば普段の飼育に役立つ情報です。
記事の後半では、この5つの事実をふまえて生態に合った飼育環境をご紹介しますので、まずはメダカの知られざる生態について詳しく解説していきましょう。
1:メダカは水草を食べることができる
人工飼料やミジンコ・ボウフラといった餌を食べているメダカですが、実は水草も食べます。
メダカは雑食性なので動物性の餌はもちろん、植物性の餌も好んで口にします。とても小さな浮草の「ミジンコウキクサ」はメダカが食べることができる水草として有名です。
また、メダカの飼育によく用いられるグリーンウォーターも植物プランクトンが豊富な水なので、植物性の餌といえます。よく観察すると、水槽に生えた微細なコケをつついている姿も見かけます。
2:メダカたちにも序列がある
メダカは仲良く泳いでいるイメージがありますが、群れのなかには序列があります。
群れのなかで底面側を陣取っているのが実力者で、大きさや体格といった要素で決まります。
繁殖期にオス同士がメスを求めて小競り合いをしているのを見かけますが、力関係を示して序列を決めるためにケンカすることも珍しいものではありません。
3:メダカは群れで泳いでも絶対にぶつからない
数十匹の群れで泳ぐことも珍しくないメダカは、お互いがぶつかってしまうことはありません。
メダカには側線(そくせん)という感覚器官があって、振動や水流・水圧を感じ取ることが可能です。
側線によってお互いの距離感がわかるため、多数で並んで泳いでいてもぶつからずに済みます。側線は他の魚種にもあって、餌になる生き物を見つけるために役立てる魚もいます。
4:メダカは餌を匂いでも発見できる
メダカは目だけでなく、匂いでも餌を見つけることができます。
正確には水に溶け込む化学物質を感じ取って、好むものであれば近寄ったり、口に入れたりします。
メダカの餌にはガーリックパウダーなど、匂いが強い材料を使っていることがありますが、これは嗜好性を高める(食いつきを良くする)ためです。
5:メダカは視覚が良い!
同サイズの小型魚種と比較して視覚に優れるのもメダカの特徴です。
頭の高い位置に大きな目があることから「目高(めだか)」と呼ばれたのが名前の由来ですが、体の割に大きな目を持っていることから考えても視覚に優れることがわかります。
小さなミジンコやブラインシュリンプを少量入れても、あっという間に気付いて食べてしまうのも当然です。
メダカ同士でお互いの顔を認識して区別するともいわれています。
メダカの生態に合った飼育環境を考える
ここからは、ご紹介してきた生態や習性に合った飼育環境を考えていきます。
メダカのストレスを減らことにつながるので、より良い環境で飼育したい場合には参考にしてみてください。
水草と日光はメダカの飼育環境で最も大切
メダカの飼育環境では、水草と日光がとても大切です。
雑食性なので、餌となる植物プランクトンが十分に育つ環境が適していますが、植物が育つためには日光が必要だからです。
植物プランクトンは動物プランクトンの餌にもなるため、餌として入れたミジンコやゾウリムシといった生き餌が増えたり、長持ちしたりするメリットもあります。
もちろんメダカの餌は生き餌や人工飼料でも良いですが、常に栄養を補給できる植物プランクトンが多い環境はメダカに最適です。
飼育容器は「浅く広く」!
浅く広い飼育容器は効率よく日光を取り込めるため、植物プランクトンが育ちやすい環境といえます。
十分な広さがあれば、序列によるメダカのケンカが起こっても逃げ場所を確保しやすいです。隠れ場所として水草や浮き草があると、より効果的です。
開口部が広い容器は日光だけでなく水面からの酸素供給も多いため、メダカやバクテリアの活性化にもつながります。
大きな音や振動は控えよう
メダカは側線で振動を感じ取るので、大きな音や振動は控えましょう。
人通りの多い場所やドア付近といった頻繁に振動が起こる場所は避けて、静かな場所で飼育した方がストレスが減ります。
掃除の際もゆっくりフタを開けたり、水槽周辺は静かに歩いたりして、できるだけ振動させないように作業しましょう。
異なる品種を混ぜるのはNG?
メダカは視覚に優れた魚ですが、品種改良によって生み出された種類の中には視覚が弱い品種のメダカがいます。
- アルビノメダカ
- 出目メダカ
- スモールアイ
といった品種は視覚が弱いため、飼育する際には注意が必要です。
特にメダカの多品種同士を混泳する場合、視覚に優れた黒メダカやヒメダカなどの原種(品種改良のもとになった種)に近い種類と、視覚の弱い品種を一緒に飼育してしまうと、視覚の弱い品種が餌を食べ損ねるなどのトラブルに見舞われることが考えられます。
またメダカ同士で顔が識別できるとする研究結果から、顔つきや体型が極端に違う他品種同士では、ケンカや小競り合いが起こりやすくなってしまう可能性も。見た目や視覚に特徴のある品種はちょっかいを出される対象になりやすいので、混泳させる場合は品種に十分配慮しましょう。
まとめ:メダカについて意外と知らない事実5つ!生態・習性から考える最適な環境
今回は、メダカの意外と知らない事実5つと生態や習性に合った飼育環境をご紹介しました。
メダカが水草を食べことはご存知な人もいるかもしれませんが、序列があったり、側線で振動やメダカ同士の距離を感じ取ったりといった生態は目新しかったのではないでしょうか。
生態や習性を深く知ることは、適切な飼育設備や世話の仕方を考えるきっかけにもなります。この記事の内容をぜひ、メダカの飼育に役立ててみてください。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。