水槽に入れる魚の匹数や考え方
熱帯魚や水生生物の飼育は適したサイズの水槽を用いなければ生体の健康状態に悪影響を及ぼします。一般的に流通している規格水槽を例に、水槽サイズに適した生体飼育数について解説します。
基本の規格水槽とは
横幅が30cmきざみで製作されるスタンダードな水槽の事です。
30cmから180cmまでが一般的には規格サイズと呼ばれています。
大まかにサイズ別で分類するとこのような図になります。
60cm水槽は小型か中型に分類されることがあります。
50cm水槽や75cm水槽など、細かなニーズに応えるサイズを販売しているメーカーもあるので、お好みの水槽を探すのも楽しいです。
しかし、流通している水槽台は30cmきざみのサイズがほとんどですので、サイズがあわない場合はオーダーメイドなどを利用することがあります。
規格水槽のサイズ別水量表
規格水槽のサイズごとの水量一覧表です。
規格サイズ名 | 大きさ(cm) | 総水量(L) |
---|---|---|
30cmキューブ水槽 | W30×D30×H30cm | 約27L |
45cm水槽 | W45×D24×H30cm | 約32L |
60cm水槽 | W60×D30×H36cm | 約64L |
90cm水槽 | W90×D45×H45cm | 約182L |
120cm水槽 | W120×D45×H45cm | 約243L |
150cm水槽 | W150×D60×H60cm | 約540L |
180cm水槽 | W180×D60×H60cm | 約583L |
飼育生体を選ぶ際の参考にしてくださいね。
なお、水量が増えるほど重量も比例していきますから、設置台や床の耐荷重も確認しましょう。
水槽の主な素材には、ガラスとアクリルがあります。接着方法が異なるため、採用される板厚が同じサイズでも違うことがあります。
板厚によって入る水量も微量ですが変化しますし、素材ごとの比重によって総重量はかなり変わります。
アクリル製の方が軽いですが、耐久性はガラス製が勝るなど、それぞれ一長一短ですので、事前にチェックしておきましょう。
魚の体長1cmにつき1Lの水があれば安全に飼育できます!
魚はフンやエラなどからアンモニアを出します。
そのため、あまりに少ない水量だとすぐに水質が悪化してしまい、ダメージを受けてしまいます。
水の量が少ない=泳ぐスペースも少ないため魚がストレスを抱えてしまう事もあり、あまり好ましくありません。
そのため、通常は魚の体長1cmにつき約1L程度の水量が目安とされています。
水量が少ないと当然、水中の溶存酸素も少ないわけですから、酸欠や病気のリスクも高まってしまいます。
それを踏まえたうえでも、この目安をおすすめしたいです。
水槽サイズの分類別!飼育生体
水槽のサイズ別のメリット・デメリットと、具体的にどんな魚種が飼育できるのかをまとめました。
小型水槽
- サイズ~横幅60cmまで
- メリットコンパクトで手軽に設置できる
- デメリット水量が少なく外気温の影響を受けやすい
小型魚(ネオンテトラ、グッピー、プラティ、カラシン類など)・メダカ・ベタ・ビーシュリンプなど
中型水槽
- サイズ横幅60~120cmまで
- メリット飼育環境のバランスがとりやすい
- デメリット見た目よりも重量があり水槽台が必要
小型~中型魚(グラミー類、エンゼルフィッシュ、ブッシープレコなど)・金魚・カメなど
大型水槽
- サイズ横幅120cm以上
- メリット大型魚が飼育可能で空間演出に向く
- デメリット設置に工事が必要な場合がある
中型~大型魚(アロワナ、ポリプテルス、オスカー、プレコなど)、小型魚の群泳など
魚種の性質とおすすめ飼育水槽
小型淡水魚
- 特徴~8cm程度の小さな熱帯魚
- 長所温厚な性格で群泳できる種類が多い
- 弱点水流に弱く、混泳相手を間違えると襲われてしまうことがある
水草水槽・ボトルアクアリウム・アクアテラリウム
中型淡水魚
- 特徴10~20cm前後の熱帯魚
- 長所水槽で映え、比較的体力もある
- 弱点想定外の大きさに成長しやすいく、飼育水槽が狭くなってしまう事がある
水草水槽、流木水槽
大型淡水魚
- 特徴25cm以上の熱帯魚
- 長所大きな体格で迫力と優雅さがある
- 弱点肉食魚が多いため混泳が難しい。飼育するには150cm以上クラスの水槽が必要
ベアタンク・流木水槽・オーバーフロー水槽
メダカ
- 特徴日本で馴染み深い小型淡水魚
- 長所手軽に飼育でき、繁殖が楽しめる
- 弱点強い水流。屋外飼育の場合、外敵に襲われないように注意
水草水槽・ビオトープ・睡蓮鉢・発泡スチロール・ボトルアクアリウム・アクアテラリウム
金魚
- 特徴古くから人気の中型淡水魚
- 長所色鮮やかで美しく種類が豊富
- 弱点他種との混泳に向かず、15cm以上など大きく成長しやすい
金魚だけの中型水槽・ベアタンク
海水魚
- 特徴海に生息する魚達
- 長所カラフルで体型もユニーク
- 弱点ケンカが多い。海水でしか飼育できず、硝酸塩に弱いため対策が必須
海水水槽・サンゴ水槽・オーバーフロー水槽
餌について
小型魚の餌
口が小さいので餌のサイズに注意です。クランブルなど細粒状の人工飼料や、ブラインシュリンプのような小さな生餌がおすすめです。3cm以上の体長なら、赤虫やイトメも食べられることが多いです。
おすすめの餌細粒餌・ミジンコ・ブラインシュリンプなど
中型魚の餌
ある程度のサイズの餌も食べられるので、赤虫やクリルなど、動物性の餌から草食性のタブレットまで通常の餌ならほとんど食べられます。販売されている製品も多く、餌の選択肢が広いです。
おすすめの餌人工飼料(中顆粒・タブレット)・赤虫・クリルなど
大型魚の餌
大型魚は肉食性の種類には、生餌である小赤やデュビアなどを与える機会が多いですが、人工飼料にも餌付かせた方が栄養の偏りを抑えられ健康的に育てられます。草食性のプレコも同じです。
おすすめの餌人工飼料(大粒)・小赤などの生餌・クリルなど
餌の形・サイズ別にまとめた記事はこちらです。
生餌についてはこちらをご覧ください。
同じサイズ・性質の魚を選ぼう
混泳する場合は、同じぐらいのサイズで性質の近い魚を選びましょう。
体格に差があるとパワーバランスが保てずに、いじめやケンカが発生することがあります。
得意な水質が違う魚同士を一緒に飼育すると、どちらかに無理が出てしまい、病気にかかったり上手く発育できなかったりするケースがあります。
サイズ感や好む水質が同じでも、遊泳域の関係で弱ることもありえます。
(例:ネオンテトラとコリドラスは混泳可能ですが、中層を泳ぐネオンテトラが餌を食べてしまい、低層を泳ぐコリドラスに行き届かないことがあります。)
例であがったネオンテトラとコリドラスの混泳については、こちらの記事に詳しく書いてあります。
飼育を開始する前に、生態や餌の食べ方などを確認して、必用な飼育環境やレイアウト、餌の種類などを決めると失敗が少ないです。