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大型水槽より小型水槽の管理はプロでも難しいって本当!?その理由とは?

手軽に楽しむことができる小型水槽。

本当にそうでしょうか。

確かにコストを抑えて簡単に設置することができるという点では手軽にというフレーズは当てはまるとおもいます。

しかし、継続的に管理するという意味ではどうでしょう。

結論から申し上げますと、小型水槽を継続的に美しい状態で管理することは難しいです。

わたしたちプロでも難しいです。

そして、30センチ程度の小型水槽と比較し、120センチ程度の大型水槽は管理が簡単です。

ここでは、小型水槽がなぜ管理が難しいのかを解説していきます。

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小型水槽の管理が難しい理由1 水質管理の問題

小型水槽の場合、水量が少ないため水質が悪化するペースが速くなります。

これが、最大の難点です。

水槽の生体数を考える場合、水槽サイズより水量で換算します。

1匹あたりの水量が多いほど水が汚れづらくなり、飼育管理がうまくいきます。

例えば30センチの水槽ですと、大体水量が30リットル程度、それが120センチ水槽となると250リットル程度となります。

そこへ各水槽に10匹投入する場合、1匹あたりに確保される水量が30センチ水槽だと3リットル、120センチ水槽だと25リットルと8倍以上の差がつきます。

つまり、単純に考えれば水が汚れるペースも8倍となり、これこそが小型水槽で美しく飼育管理が難しい理由です。

水質が悪化することで、水槽にコケが生えたり、水が臭くなる、最悪は水槽内の生き物が死んでしまいます。

そのため、小型水槽で手間をかけず美しい状態を維持管理するには、生体数を少なくし、できるだけ水質が悪化しないように努めて管理することをおススメします。

小型水槽の管理が難しい理由2 水温管理の問題

水温を一定に保つことが難しく白点病などの病気を発症する可能性が高くなります。

その理由は大きく2つです。

室温の影響

水槽周辺の気温や室温の影響を受けやすいため、水温がすぐに変化してしまいます。

とくに、エアコンなど空調の影響は大きく、人の有無で空調を操作している場合は水温変化も起こりやすいでしょう。

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水槽機材の機械熱における影響

また、水槽機材の機械熱については、水槽を循環させるモーターポンプや照明から発生する熱により水温が変化してしまいます。

保温ヒーターは安価なことから、小型水槽でも設置する方は多く冬場は管理しやすいかもしれません。

しかし、水槽用冷却クーラーはヒーターと比較し高価なため使用する方は少なく、夏場の温度変化はとくに気を付けなければなりません。

そのため、小型水槽で温度変化を一定にするには、夏場は24時間空調管理をする。冬場は水槽用ヒーターを設置することが現実的でしょう。

そして、ワンポイントアドバイスとして、ヒーターはワンランク大きいW数を使用することをおススメします。

ヒーターが作動する際のタイムラグを、W数上げることで設定水温まで素早く上げることができるためおススメです。

なお、スペースや費用に余裕があれば、水槽用クーラーを使用すれば完全解決です。

小型水槽の管理が難しい理由3 蒸発の問題

水量が少ないと蒸発が早いため、こまめに足し水をしなければなりません。

足し水をしないと、以下のような問題が発生します。

蒸発して空気中に出た水槽面に白い水垢が付着する

蒸発して現れた水槽面に白いカルシウムの水垢が固着します

これはスポンジでこすってもなかなか取り除くことができません。

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給水口が水槽上部にある機器が空転する

外掛けフィルターは、給水口が水槽上部にあることが多いため、蒸発により給水口が空気中に飛び出し空転すると正常に作動しません。そのため水槽内の生体にも悪影響がでてしまいます。

また、はじめから水位を低く設定しているアクアテラリウム水槽はポンプが水上に飛び出しやすいためより水位を気にする必要があります。

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海水水槽の場合塩分濃度が濃くなる

海水水槽の場合、蒸発すると水だけが蒸発し塩は水槽内に残るため塩分濃度が高くなります。

塩分濃度が一定以上高くなると、水槽内の生体に悪影響がでてしまいます。

以上のことから、小型水槽は水位を特に気にしましょう。

蒸発を抑える対策として、隙間を最大限無くすように水槽のフタを設けたり、自動補水装置を設けることをおススメします。

マリンアクアリウムを楽しむのであれば、比重はしっかりと計測して管理しなければなりません。このコラムではなぜ比重を測る必要があるのかという疑問点からおすすめの比重計までわかりやすく解説していきますので、ぜひお役立てください。

小型水槽の管理が難しい理由4 飼育生物の限定

小型水槽の場合、飼育可能な生物は淡水ならネオンテトラ、海水ならカクレクマノミなどの小型魚がメインとなります。

中型以上の魚を小型水槽で飼育できないというわけでもありませんが、遊泳スペースが少ないことから魚にストレスがかかり衰弱してしまう可能性もあるため、最低でも60センチ以上の中型水槽を用意しましょう。

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小型水槽でも上手に管理するためには

いかがでしたか。

大型水槽と比較し小型水槽の飼育管理が難しい理由がご理解いただけましたでしょうか。

小型水槽は手軽に設置できることから、小型水槽からはじめる方も多いですがじつは設置後の管理は難しいのです。

そのため、初心者の方には最低でも60センチ水槽から始めることをおススメします。

余裕があれば90センチ~120センチ程度の水槽を用意できると、より自由に簡単に飼育管理することができるでしょう。

しかし、悲観することもありません。

予算やスペースの問題などで小型水槽を導入する方も多いのも事実です。

その場合は、こちらで解説した小型水槽管理の難しい理由と対策を踏まえて実施しましょう。

小型水槽でも、これが小型水槽!?というくらい綺麗に維持管理している方もたくさんいますし、私自身、いまでも小型水槽を自宅に置いて楽しんでいます。

是非、皆さんのライフスタイルに合ったアクアリウムライフをお過ごしください!!