金魚やメダカは、水槽に顔を近づけてくると「もっと餌ちょうだい!」と言わんばかりに近寄ってきて口をパクパクさせるのが可愛らしいですね。
つい、たくさん餌をあげたくなりますが、実は「餌を与えてはいけない」時期もあることをご存知でしたか?
今回は飼育している魚に、餌を与えてはいけない場面について解説します。餌やりを上手に使い分けて、魚たちを長生きさせてあげましょう。
目次
魚に断食をさせても平気なのか
熱帯魚飼育に慣れてない方は「餌を与えないなんて!そんな酷いことできない、魚が可哀想だし、それが原因で死んでしまったらどうしよう」と不安になってしまうかもしれません。
でも大丈夫です。魚は案外丈夫です。種類にもよりますが、数日~1週間の断食は何の問題もなく、かえってメリットがある場合も多いのです。
断食可能な期間はどのくらいなのか…それは、魚のサイズでだいたい把握できます。筆者の個人的な経験から申し上げますと、
- 小型の魚であれば2~3週間
- 中型の魚であれば3~4週間
- 大型の魚であれば4週間
この期間を過ぎると生命が危険になりますので、餌を与えてください。
また、断食する時期が寒い時期である場合、加温飼育しないで育てている魚(金魚やメダカなど)はさほど活発に動き回りませんので、期間をやや長くしても大丈夫です。
魚に断食させる、その理由は?
餌を与えないほうがいい時…そんな場合の最も大きな目的は「餌をやらないことで、健康状態を人間側で調整してやる」というものです。
魚は餌を与えられれば、本能で反射的に食べてしまうことが多いのです。体調不良時や、水質が悪化して病気になりやすい状態でも、食べてしまいます。
そうなると魚の健康がおびやかされてしまいますので、人間が健康状態を管理するために餌の量を調整してやる必要がでてくるのです。
そういった健康管理だけでなく、他の理由から断食させた方がいい場合もあります。
下の項で、魚に断食させるべき時を具体的に解説します。
魚に断食させるべき時3つ
水質が悪化している時
水質が悪化すると、魚たちはとたんに体調不良になります。
マズイ、水質が悪化している!と思ってすぐに水換えをしたとしても、体力を回復する時間に加えて新しい水に慣れるまでの時間も必要ですから、水質悪化の後は一週間程度断食させましょう。
餌を与えると
- 水の中に有機物が増えるので水質がさらに悪化してしまう
- 魚の排泄物が増えることで、水質が悪化する
- 食べ残しが生じると、水質が悪化する
などのデメリットがさらに増えてしまいます。そういったことを避けるためにも、水質悪化時は断食が必要です。
この場合の断食期間は「3日~1週間程度」となります。
水質悪化は魚に大きなストレスを加えてしまうので、普段から水質管理には気を配りましょう。適度な水換えはもちろん必須です。水質に自信がない場合は検査薬で水質チェックを行うと安心です。
消化不良・病気の治療中
消化不良や下痢の時は、胃腸を休ませる必要があるので餌を与えないようにしましょう。この場合も期間は「3日~1週間」程度としてください。
人間も胃腸の病気にかかったら食事制限を行いますね。それと同じ理屈です。
病気の治療中も基本的には与えません。食べ物を消化することでかえって体力を消費してしまうのを防ぐためです。しかし、治療が長引く場合は体力をつけるためにごく少量の餌を与えてください。
魚を輸送するとき
何らかの目的で魚を輸送する際も、輸送の前日は餌を抜いて断食させましょう。
餌を食べさせると、当然排泄が起こります。輸送中の小さなパッキング内で排泄を行うと、ただでさえ少量しかない水の中に排泄物が漂い、水質が急激に悪化します。
水槽内であれば排泄物に含まれたアンモニアは分解されますが、輸送中はそれも難しいですから、魚がアンモニア中毒になってしまうかもしれません。
引越しなどのために輸送する場合も同じですから、前日は断食させましょう。
輸送は魚にとって大きなストレスですから、少しでもストレスの元は断つよう心がけてください。
肉食魚が人工餌を食べない時も断食が有効!
肉食魚を導入したが、うまく人工飼料や乾燥餌を食べてくれない…!どうにかして食べてもらいたいのに、という場合、断食期間を作ると人工飼料を食べてくれることがあります。
例えばアロワナの場合は2週間から1ヶ月断食させてから、人工飼料、乾燥餌を与えてください。空腹が理由で食べてくれることが多いです。
魚は初めて見たものを「餌だ」と認識できません。ですから少々無理やりにでも一度食べさせれば「これは餌なんだ」と理解し、次からは順調に食べてくれるようになります。
肉食魚にとっても、飼育する私たちにとっても、人工餌を利用できると多くのメリットがあります。ですから人工餌を食べてもらえるようにしつけるのが飼育のコツです。
まとめ:こんな時は餌を与えてはいけない?熱帯魚、金魚、メダカへ断食させる場面
魚に餌を与えず、断食させた方が魚にメリットがあるケースについて、理由や期間を解説させていただきました。
餌を上手に管理し、熱帯魚たちをできるだけ長生きさせてあげましょう。

水槽のプロ トロピカライターの高井です。
アクアリウム全般が好きで、現在はアベニーパファーのトリコ。
ピンセットでアベニーにアカムシを食べさせるのが日々の癒しです。
コメント
参考に、なりました。
コメントありがとうございます!
これからもアクアリウムの情報を発信してまいりますので、よろしくお願いいたします。
今、まさに金魚の調子が悪く参考になりました。
ありがとうございます
こちらこそ、ご愛読いただきありがとうございます!
生後1ヶ月ほどの稚魚も一緒にいるのですが、断食しても大丈夫ですか?
断食できる期間は魚の体力によります。
稚魚が餓死してしまう可能性が高いので、断食は控えたほうが良いです。