エビは熱帯魚などと比べると、水質にはかなり敏感な生き物。
特に夏場の高水温は致命的で、酸欠やpHの変動などが原因となり命を落とす危険性があります。
皆さんは普段、水槽の水温上昇をどのように対策していますか?
水槽用クーラーの導入が王道だと思いますが、費用や騒音がネックになってなかなか購入に踏み切れないという方も多いですよね。
そこで今回は、エビ水槽の水温上昇を防ぐ手軽な方法から本格的な方法まで、全部で5つの対策方法をご紹介していきます。
大切なエビたちが死んでしまわないよう、夏本番を迎える前にしっかりと水温対策をしておきましょう!
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高水温はエビに悪い?
エビ飼育のサイトや専門書を開いてみると、「エビに高水温は危険」という記載がされているのをよく見かけますよね。
確かにその通りで、エビは水温が30℃に達すると衰弱してしまい、命を落とす危険性がかなり高くなってしまいます。
高水温で死んでしまう理由として一番に挙げられるのが、溶存酸素減少による酸欠です。
水中に溶け込む酸素の量は水温の上昇につれ少なくなるため、酸素をたくさん消費するエビは酸素不足により命を落としてしまうんです。
エビは体が小さいので、水温が26℃をこえると1℃の上昇でも体力を奪われてしまいます。
適水温である20~25℃の範囲内でも水温の変動は極力おさえておくのが望ましいため、なるべく水温が変わらないよう徹底した管理を心がけましょう。
高水温でエビが突然死する原因
まずは高水温によってエビが死んでしまう理由ということで、
- 酸欠
- 水質悪化
- pHの変動
これら3つの原因について解説をしていきます。
原因1:酸欠
高水温によってエビが突然死してしまう原因としては、やはり酸欠が一番に挙げられます。
水に酸素が溶け込む量は限度が決まっていて、水温が低ければ低いほど、多くの酸素を取り入れられる仕組みとなっています。
つまり水温が高ければそれだけ酸素の量が少なくなり、そのわずかな酸素を生体たちで奪い合うことになってしまうため、体力のないエビたちは次々と死んでいってしまうのです。
水草が豊富な水槽であっても夜間は光合成による酸素供給がストップしてしまいます。
高水温による酸欠を防ぐためにも、エビ水槽のエアレーションは絶対に絶やさないようにしましょう。
原因2:水質悪化
酸欠の次に注目したいのが、高水温による水質の悪化です。
冬よりも夏の方が食べ物が傷みやすかったり、生ゴミが臭ってきたりしますよね。
これと同じような現象が、水中でも起こります。
高温の飼育水ではエビのフンや餌の食べ残しなどが腐敗しやすく、すぐに水質が悪化してしまうのです。
エビはただでさえ水質の悪化に弱い生き物なので、そこに高水温という要因が加わると危険度が跳ね上がってしまいます。
原因3:pHが変動した
高水温になればなるほど、pHは低下していく傾向にあります。
エビは中性(pH6.0~7.5程度)の水質を好みますが、適応範囲内であってもpHの急変は命取りです。
pHショックを起こしてしまわないよう、定期的に水質をチェックしましょう。
エビ水槽の水温対策5つ
ここからはエビ水槽におすすめの水温対策ということで、
- 日光を当てないようにする
- 水槽用クーラー・冷却ファンをつける
- エアコンで室温ごと管理する
- エアレーションをしっかりめにする
- 水量を多めに確保する
これら5つの方法について解説をしていきます。
日光を当てないようにする
高水温対策としてまず取り入れたいのが、日光や蛍光灯などの熱源を当てないようにするという方法です。
遮光カーテンやベランダに取り付ける遮光ネットなど、遮光アイテムが役に立ちます。
ただし、長時間水槽を真っ暗な状態にしておくのはよくありません。
日差しをさえぎっても生体の生活リズムが狂わないよう、発熱の少ないLEDライトを使用したり、涼しい夕方に限って点灯するといった工夫をしましょう。
水槽用クーラー・冷却ファンをつける
王道なのが、冷却ファンや水槽用クーラーを使用するという方法です。
温度をサーモで管理すれば、冷やし過ぎによる水温の変動も防ぐことができます。
ただし、冷却ファンは気化熱を利用して水を冷やすため、飼育水が濃縮されてしまいます。
定期的に足し水するのを忘れないようにしましょう。
また、水槽用クーラーは排熱の影響でかえって室内が熱くなってしまったり、動作音が気になるといったデメリットもあります。
確実に水温を下げるのにはもってこいの方法ですが、こうしたデメリットもよく確認してから導入を検討しましょう。
エアコンで室温ごと管理する
最も簡単かつ効率が良いのが、エアコンの使用です。
水槽を置いている部屋にエアコンが設置されていればランニングコストはかかりませんし、複数の水槽がある場合は冷却ファンや水槽用クーラーで個別に冷やすよりも電気代が抑えられます。
ただし、夏の間はエアコンを24時間付けたままにしなければならないのが難点です。
日中、家を留守にすることが多い方は、ちょっともったいなく感じるかもしれません。
エアレーションをしっかりめにする
エアレーションは生体の酸欠を防ぐのはもちろん、風通しの良い部屋であれば気化熱の効果で水温を下げることも可能です。
ご紹介している水作の水心 SSPP-3Sは30~60cmの水槽に対応したエアーポンプで、エア量がダイヤルで調節できるようになっています。
夏場はいつもより強めにエアレーションを作動させましょう。
水量を多めに確保する
ボトルアクアリウムなど小型の容器でエビを飼育している場合に有効なのが、夏の間だけでも容量の大きい水槽に移動させるという方法です。
単純に水量を多くして水槽全体の酸素量を増やす効果もありますが、水温の上昇そのものを防ぐことにもつながります。
小さな容器とある程度のサイズの水槽とでは、水温の上昇率が驚くほど異なるのです。
気温が高くなり水温が上昇する季節になったら、エビたちを広めの水槽に避難させてあげましょう。
まとめ:高温注意!エビ水槽の水温対策5つ!夏の暑さはエビ飼育には危険です!
今回はエビ飼育の課題とも言える、夏場の高水温対策について解説をしてきました。
水温や水質の変動、酸欠に弱いエビ類にとって、高水温にさらされることは命取りとなり、かなり危険です。
ご紹介してきたようにエアコンやエアレーションなどを上手に活用して、水温の上昇を抑えてあげましょう。
ただし、水槽に氷を入れて水温を下げるのは禁止です!
これはエビ水槽に限らず熱帯魚の飼育にも言えることですが、氷を使って水温を下げてしまうと、急激な水温の変化により生体がショック状態になってしまうのです。
慌てて水温を下げる事態にならないよう、今のうちから高水温対策をしておきましょう。

トロピカライターの井上あゆみです。
金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。
お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!
コメント
シノドンティス ドンティを2匹買ったんですけどベロネソックスと混泳に失敗してしまいました。
シノドンティスは大きくなると、どんどん気が強くなるので、単独飼育をおすすめしています。
ベロネソックスは臆病なところがあるので、2種の混泳は難しいですね。