テレビやネットを眺めていると、海の変わった生き物を目にすることがあります。
- 胸びれを足のようにして海底を歩くカエルアンコウ
- 長く派手なヒレを持つミノカサゴ
- 小さくて丸い愛嬌の塊のようなダンゴウオ
などは個性的な海水魚の代表です。
実はこのような海の生き物の中にも自宅で飼育することができる種類がいますが、外見だけでなく生態や飼育環境まで特殊な場合があるため、事前にしっかりと下調べをしてから飼育を検討すると良いでしょう。
今回は、生き物の特徴と自宅で飼育できるかどうかをふまえて、変わった海の生き物8選をご紹介します。
変わった海の生き物8選!飼えるのかもご紹介
海は不思議な生き物の宝庫です。個性的な生き物たちはたくさんいますが、ここではその中でもよく名前を聞くことがある8種類の生き物をご紹介します。
- カエルアンコウ
- ハリセンボン
- ミノカサゴ
- カレイ
- ウミシダ
- サカサクラゲ
- ダンゴウオ
- マテ貝
どれも奇抜な外見の持ち主ですが、なかには飼育できる生き物もいます。生き物の特徴と飼育の可否、飼う際の飼育設備をご紹介していくので、ぜひ、ご覧になってみてください。
カエルアンコウ
見た目が特徴的なカエルアンコウは、胸びれと腹びれを使って海底を器用に歩く変わった海水魚です。
オーバーフロー式などの設備を揃えれば飼育は可能ですが、水質に敏感な面があるため、ややハードルが高い部類に入ります。
体長は最大15cm前後とあまり大きくならず遊泳力も高くないことから、45cm水槽でも飼育はできますが、水質に敏感できれいな水質を維持する必要があるため、安定して飼育するのならば60cm以上の水槽を用意しましょう。
水質、水温の維持を考えると、ろ過はオーバーフロー式が望ましいです。また、底を歩くように移動する習性があるため、底砂を敷いてあげるのがおすすめです。
寿命は1年程度です。
ハリセンボン
ハリセンボンは、怒ったり身に危険を感じたときに無数のトゲを出して体を膨らませる姿が印象的な海水魚で、名前を知っている方も多いのではないでしょうか。
一番の特徴であるトゲは、うろこが変化したものといわれています。水族館などでしか見かけない魚ですが、自宅の水槽で飼育することも可能です。
体長30cm程度に成長するので、最低でも60×45cmサイズの水槽を用意しましょう。ただし、クリルなど動物性の餌中心で、水を汚しやすいことを考えると90cm以上のオーバーフロー式水槽がベストな環境です。
人によく慣れて愛嬌がありますが、フグの仲間で鋭い歯を持っているため、お世話をするときには怪我に注意してください。
ハリセンボンの飼育方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
ミノカサゴ
ミノカサゴは赤と白の縞模様と、長く伸びたヒレが目を引く派手な海水魚です。
背びれの棘条(トゲ)を中心に毒があるため、扱いには注意が必要ですが自宅でも飼育することができます。
適応できる水温の幅が広く、病気にも比較的強めの魚なので一般的な海水魚飼育設備で問題ありません。ただし、餌が生き餌と生餌が中心で水を汚しやすいので、水換えによる水質管理を欠かさないよう注意してください。
ミノカサゴは40cm近い大きさになるので、水槽は90cmサイズ以上が望ましいです。
大きな水槽の設置が難しい場合は、やや小型種(20cm程度)の『キリンミノ』ならば60cm水槽でも飼うことができます。
ただ、棘上が傷つくと弱りやすいため、できる限り大きな水槽で飼育しましょう。
カレイ
カレイは、海底をはうように泳ぐ平べったい体型が特徴的な海水魚です。その平らな体を活かして、普段は砂の中に潜って身を隠しています。
釣りや食用として名前を聞く機会が多いですが、実はカレイも自宅で飼育に挑戦することができる魚です。
40cm近い体長に成長することもあるので、最低でも60cm水槽、できれば90cm水槽を用意しましょう。砂に潜る習性を考慮して、粒の小さい底砂を敷きます。
餌はゴカイ類を好んで食べますが、エビなどの甲殻類から魚の切り身まで動物性の餌を幅広く口にします。
ちなみに、カレイの仲間には淡水性の種類もいるので、海水魚水槽のハードルが高いという方は、淡水カレイの飼育がおすすめです。
ウミシダ
ウミシダは、ウニやヒトデに近い生物ですが、泳いで移動する変わった生き物です。
飼育難度が高く壁などへの衝突に弱いため、設備の整った水族館でも長期飼育に成功した例はあまりありません。
自宅での飼育も当然ハードルは高いですが、もし飼育を検討する場合は、できる限りの衝突を避けるために、180cm以上の最大級サイズの水槽を準備する必要があります。
大きな個体ほど体力がありますがその分値段も高くなりますし、そもそもショップでも流通が少なく、入手するのは簡単ではありません。
餌はブラインシュリンプやコペポーダを毎日給餌する必要があります。ウミシダのなかには毒を持っている個体もいますが、見分けることが難しいため扱いには注意しましょう。
サカサクラゲ
癒し効果の高いクラゲを自宅で眺めたいと考える方もいるのではないでしょうか。種類によりますが、クラゲも自宅で飼育することができます。
なかでも足を上にして泳ぐサカサクラゲは比較的飼育が簡単で、30cm以上の水槽で飼育が可能です。ネットショップなどでは比較的安価で入手することができます。
サカサクラゲは摂取している栄養のよって体の色味が異なります。青黒っぽい個体は摂餌によって栄養を吸収している一方で、赤っぽい個体は栄養を体内の褐虫藻に依存しているため強い照明で飼育するのが良いです。
ただ、長期的に飼育するなら、個体に関係なくブラインシュリンプやコペポーダといった餌を1日1回与えましょう。水換えは、週に1回が目安です。
飼育の注意点としては、サカサクラゲの出す粘液には刺胞があるため、飼育水に触れるだけで刺されてしまう可能性があります。毒性は弱いため多少痒くなる程度で済むことが多いですが、肌の弱い方はご注意ください。
ダンゴウオ
ダンゴウオは丸い体型とつぶらな瞳がとてもかわいい魚です。吸盤状になった胸ヒレで岩などにくっついている姿が愛らしいと近年人気が高まっており、ダンゴウオ目的でダイビングする人もいるほど。
もちろん飼育に興味のある方もいますが、実は飼育難易度は高いです。
2~3cmと小型なので、30~45cm水槽で飼育できます。ただ、水温に敏感で15~20度を維持しなくてはならないため、高性能な水槽用クーラーが必要です。
肉食性なので生餌が欠かせませんが、慣れるとホワイトシュリンプなどの冷凍餌も食べるようになります。寿命は1年程度で、長期間飼育することはできません。
マテ貝
マテ貝は10cm程度の細長い二枚貝で、潜んでいる砂地の穴に塩を入れると飛び出してくる面白い習性があります。
潮干狩りでも人気があるので、名前を知っている人も多いのではないでしょうか。
飼育の面でいうと、ほぼ不可能といわざるを得ません。水質に敏感なうえに二枚貝の餌は微細なプランクトンなので、安定供給が困難で長期飼育は難しいでしょう。
飼育に挑戦したい場合は、マテ貝が潜れるよう粒の細かいサンゴ砂を20cm以上敷きます。底砂の厚さを考えると、60cm以上の水槽が必要です。
気になる生き物を飼育する前に
魅力的な生き物を見たときに、飼育したい!という気持ちが湧いてきたとしても、衝動的にならず、一度冷静に飼育可能どうかを検討することが大切です。
具体的には、
- 最大体長と遊泳力
- 餌や設備
をまず最初に確認してみることが、失敗しないコツです。
最大体長を調べよう
生き物の最大体長は、必要な水槽サイズに直結します。
体長に合わない水槽では、体が曲がるなど奇形になってしまうことがあります。生き物の最大体長をもとに、適した大きさの水槽が用意できるか検討しましょう。
また、泳ぐ力が強かったり、よく泳ぎ回ったりする魚の場合は、体長以上に大きな水槽が必要になることもあるため、遊泳力も調べておきましょう。
餌や設備に注意しよう
餌や設備も飼育の可否につながる重要なポイントです。
たとえば、生き餌しか食べない生き物の場合は、生き餌を維持する水槽や容器が別に必要で管理にも手間がかかります。プランクトン食性など特殊な餌を食べる生き物は、餌の調達から給餌まで難しいことも少なくありません。
また、水質・水温に敏感な生き物はオーバーフロー式や水槽用クーラーなど、大掛かりな設備が必要になります。生き物の種類によっては、必要な飼育設備をそろえると思った以上に費用がかかることも念頭に置いておきましょう。
まとめ:変わった海の生き物8選!魅力的でも自宅で飼育できるの?特徴を解説
今回は、生き物の特徴と自宅で飼育できるかどうかをふまえて、変わった海の生き物8選をご紹介しました。
変わった見た目の生き物のなかには飼育できる種類もいるため、自宅の水槽で泳いでいる姿を思い浮かべると飼いたい気持ちが湧いてきます。
ただ、飼育のハードルが高いこともあるので生態はもちろん、最大体長と餌・設備を調べてから検討するようにしましょう。
衝動的に購入してしまうと後から持て余してしまう事も少なくありません。本当に飼育できるかどうかをよく確認してから、挑戦してみることをおすすめします。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。