ろ過フィルターにはたくさんの種類があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
皆さんは何を基準にして、水槽に設置するろ過フィルターを選んでいますか?
ただ魚を飼うことだけを考えれば、どのようなフィルターを選んでも問題はありません。
しかし、生き物にとって居心地が良く美しい水槽をつくるためには、その水槽の環境に適したフィルターを選ぶ必要があるのです。
そこで今回は、小型魚・メダカ・金魚・肉食魚という4種類の魚に合わせたろ過フィルターの選び方をご紹介していきますので、ろ過フィルター選びに悩んでいる方は是非こちらのページをお役立てください。
魚種ごとに得意なフィルターがある!
魚の種類によって泳ぎに得意・不得意があったり体の大きさが異なるように、適するフィルターもそれぞれ異なります。
フィルターによって生み出す水流の強さや酸素供給力に差があるので、魚の好む環境を作り出せるフィルターを選んでやりましょう。
- スポンジ
- 投げ込み式
- 外掛け式
- 上部式
- 底面式
- 外部式
- オーバーフロー
ひとことで「ろ過フィルター」と言っても、こんなにもたくさんの種類があります。
ここからは小型魚・メダカ・金魚・肉食魚という4種類の魚に適したフィルターをご紹介していきますので、参考にしてみてくださいね。
小型魚のろ過フィルターの選び方
まずは小型魚に適したろ過フィルターについて。
小型魚は外掛け式・底面式・外部式のフィルターが適しています。
穏やかな水流のフィルターを選びたい
体が小さいため体力を消耗しやすい小型魚は、水流が穏やかな飼育環境が適しています。
逆に水流が強い水槽だと流れに抵抗して泳ぎ疲れ、餌もうまく食べられないことが多いです。
また、小型魚と相性の良い水草水槽で飼育をする場合、CO2ロスの多いスポンジフィルターや投げ込み式フィルターは候補から除外されてしまいます。
マイルドな水流を好む小型魚には美観にも優れた外掛けフィルターや底面フィルター、外部フィルターを使用しましょう。
オーバーフロー式だけは避けよう
小型魚を飼育する場合、絶対に候補から外しておきたいのはオーバーフローシステムです。
水流が強すぎますし、魚がフロー管のスリットを抜けてろ過槽に落下する危険性もあります。
また先ほども軽く触れたように、小型魚は水草水槽との相性が抜群です。
しかしオーバーフローでは多くの水草に必要な二酸化炭素が抜けやすいというデメリットがありますので、よっぽどのこだわりが無い限りは小型魚をオーバーフローで飼育するのはやめておきましょう。
メダカのろ過フィルターの選び方
続いてはメダカの飼育に適したろ過フィルターをご紹介していきます。
メダカ水槽におすすめなのは、投げ込み式やスポンジフィルターです。
メダカには投げ込み式がおすすめ!
メダカには水流が穏やかな投げ込み式フィルターやスポンジフィルターがおすすめです。
種類にもよりますがメダカはとにかく水流に弱いため、わたしが持っているメダカ水槽にはろ過フィルター自体設置していません。
意外に思うかもしれませんが、体の小さなメダカは本当に体力がなくて遊泳力も低いため、ろ過フィルターを設置するなら水流が弱いものを選びましょう。
また、メダカと一緒に育てることの多いマツモ・アナカリス・ホテイソウなどの水草は二酸化炭素(CO2)を必要としていません。
つまりCO2ロスのデメリットを考慮する必要がないため、手軽に設置できる投げ込み式やスポンジフィルターがおすすめです。
外掛け式よりも投げ込み式がいい理由
メダカは小型水槽で飼育することが多いですが、小型水槽と言えば外掛け式フィルターを使うイメージも強いですよね。
それではなぜ投げ込み式やスポンジフィルターをおすすめするのかと言うと、そこには「水面近くの水流の強さ」が関係しています。
投げ込み式と比較すると、外掛け式フィルターは水面近くの水流がやや強いです。
上層を泳ぐことの多いメダカにとっては水面付近の水流がより穏やかな方が過ごしやすく餌も食べやすいので、投げ込み式やスポンジフィルターの方がメダカに適していると判断させていただきました。
外掛け式フィルターにもメリットはたくさんあり、適していないわけではありません。以下の要因でベストなろ過フィルターは変わってきます。
- メダカの大きさ:稚魚は泳ぐ力が弱いので水流は抑えたい
- 水槽のサイズ:メダカが泳ぎやすい水流・スペースがあるか
- フィルターのメンテナンス性:どのタイプがお手入れしやすいか
メダカが住みにくいようでは良くないので、これらを確認し、選んでくださいね。
金魚のろ過フィルターの選び方
続いては金魚に適したろ過フィルターの解説をしていきます。
金魚にはやはり定番の投げ込み式フィルターや、上部式フィルターがおすすめです。
金魚飼育の定番は投げ込み式
金魚水槽では投げ込み式フィルターを使うイメージが強いと思いますが、これはとても理にかなってます。
金魚は体型と長いヒレの影響で泳ぎはあまり得意ではありませんが、酸素の消費量が多いお魚です。おまけに底砂を掘り返す習性もあります。
そして投げ込み式フィルターは水流が穏やかですが酸素供給量は高く、底面の汚れからろ過するシステムのため、金魚にとって心地の良い飼育環境をつくり出すことができるのです。
また、金魚はフンを大量に出す生き物なので、底面式だとすぐに目詰まりを起こしてしまいます。
目詰まりを起こした底面フィルターは砂利を掘り返して取り出す必要があるため、メンテナンスのしやすさから考えても投げ込み式の方がおすすめです。
酸素供給が多いフィルターを選ぼう
先ほども軽く触れましたが、金魚は他の魚と比べると酸素を多く消費しますので、エアレーション効果の高いフィルターを選ぶのがポイントです。
そこでおすすめしたいのが、上部式フィルター。
こちらは水がろ過槽を通過するときや排水時に空気をたくさん巻き込みますので、飼育水に酸素をたっぷりと含ませることができます。
ご紹介している寿工芸 トリプルボックス600は排水時の水流があまり強くないので、金魚水槽にはかなりおすすめです。
金魚は細菌に感染しやすいので、嫌気性菌を減らすためにも酸素供給量の多いフィルターを選びましょう。
肉食魚のろ過フィルターの選び方
最後に肉食魚に適したろ過フィルターをご紹介していきます。
肉食魚におすすめなのは、上部式・外部式フィルターと、オーバーフローシステムです。
パワーの強いろ過フィルターが向いている
アロワナやポリプテルスなどをはじめとする肉食魚は、金魚以上に大きなフンを大量に出し、水を汚します。
しかし金魚と異なり水流には強いため、パワーがありろ材の容量が大きなフィルターを選びましょう。
おすすめは上部フィルターや外部フィルター、その2つの併用、予算に余裕があればオーバーフローも適しています。
水の汚れと水流に気を付けたい
フンの量もさることながら、肉食魚は餌でも水を汚してしまいます。
とにかく水質悪化するスピードが早いので、水槽内によどみができないよう十分な水流のろ過フィルターを導入しましょう。
ただし、中にはオスカーなど強い水流を好まない肉食魚もいますので、そういったお魚に対しては適度な水流に調整してやることも大切です。
まとめ:魚の種類別!ろ過フィルターの選び方!小型魚・メダカ・金魚・肉食魚向け
今回は魚種に合わせたろ過フィルターの選び方について解説をしてきました。
魚にはそれぞれ水流の強さや酸素の量に好みがあるため、適した環境に近づけるようなフィルターを選ぶことが大切です。
しかし、アクアリウムに正解はありません。
たとえば金魚は酸素を大量に消費するため、今回は酸素供給能力の低い外部フィルターは候補から外させていただきました。
しかしろ過フィルターとは別にエアレーションを導入すれば酸素問題は解決しますし、こまめな交換が必要な吸着ろ材や活性炭を取り除いて使用すれば、外部フィルターのデメリットである目詰まりのしやすさも大幅に解消できます。
生体のことはまず第一に、そして飼育者自身がどのくらいの頻度で水換えやメンテナンスができるのかを考え、最適なろ過フィルターを選んでみてくださいね。
トロピカライターの井上あゆみです。
金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。
お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!