ネイチャーアクアリウムに代表される本格水草水槽と、自然のサンゴ礁を再現した水族館のようなサンゴ水槽。
初めて水槽を設置するときや、新たに本格的なアクアリウムを楽しみたいとき、一体どちらの水槽を目指したらよいのか迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。
また、本格的な水槽を目指せば目指すほど、必要となる専門的な機材は多く予算も高くなっていく傾向にあるため、水槽を作り上げるためにかかる費用も気になりますよね。
そこで今回は、本格的な水草水槽とサンゴ水槽の特徴から必要な機材、予算までをまとめて解説していきます。水槽作りの参考にしてみてください!
水草水槽とサンゴ水槽の特徴
まずは、水草水槽とサンゴ水槽の特徴や魅力をそれぞれ解説いたします。
自分がどちらの水槽を目指していきたいのか、どちらに魅力を感じるのか考える上での参考にしてみてください!
本格水草水槽
本格的な水草水槽の代名詞といえば、ネイチャーアクアリウムが外せません。
ネイチャーアクアリウムとは水草や岩、流木などを組み合わせて、水槽の中に自然界そのままのような景観を再現する水槽レイアウトのことです。
一般的な熱帯魚水槽では、魚が主役で水草は熱帯魚を彩る脇役というイメージがあるかもしれませんが、ネイチャーアクアリウム水槽では水草も主役。自然のままにたっぷりと水草を植え込むことで、その雄大な姿を楽しみます。
自然を切り取ったかのような風景をゆっくりと自宅で鑑賞する瞬間は、癒しそのものといってもいいかもしれません。
ネイチャーアクアリウムについてはコチラの記事も参考にしてください。
美しい水草水槽を作り上げるためには、いかに水草を元気に育てて、ベストな状態で管理していけるかが重要なポイントとなります。
そして、そのためには水草育成専用の機材が欠かせません。水草を成長させるための高い光量を保有する照明や、専用のCO2添加キットを設置することで、水草に光合成を促し、元気に美しく成長させることができるのです。
水草本来の緑や赤色の美しい発色を楽しむためにも、照明やCO2添加キットの設置は非常に重要な役割を担います。本格水草水槽を作る上では必須となることを覚えておきましょう。
水草水槽についてはコチラの記事も参考にしてください。
サンゴ水槽
サンゴ水槽の大きな魅力といえば、淡水ではなかなか表現できないポップで色彩豊かな水槽をレイアウトできることではないでしょうか。美しいサンゴの合間をこれまたカラフルな海水魚が泳ぎ回る…水族館のような光景ですね。
珊瑚といえばピンク色を思い浮かべるかもしれませんが、実際のサンゴはピンク以外にも黄色や白など様々な色合いのものがおり、また見た目もユニークです。
南国の美しい海から採取された天然のサンゴから、養殖されたサンゴまで、一口にサンゴといっても幅広く揃っているため、好みのものを揃えていけば自分なりの美しいサンゴ水槽を作ることができるでしょう。
一昔前は、家庭用の水槽でサンゴを維持管理し、鑑賞するのは難しいとされていました。それだけサンゴは繊細で、育てていくには専門的な知識や機材が必要ということです。
しかし、最近では海水水槽の機材が進歩し、家庭でもサンゴの飼育を楽しめるようになりました。また、飼育経験者のノウハウをインターネット上で閲覧できるようになったことも、一般の方がサンゴを育てていくための大きな支えとなっています。
とはいえ、サンゴ水槽に初めてチャレンジする方からすれば、プロテインスキマーや添加剤、カルシウムリアクターなどの専門用語が飛び交うため非常に理解しづらく、ハードルが高く感じてしまうこともあるでしょう。
そこで、ここからは水草水槽とサンゴ水槽、それぞれの水槽機材やおすすめの種類を解説いたします。
サンゴ水槽についてはコチラの記事も参考にしてください。
本格水草水槽に必要な機材
本格水草水槽では、水草をいかに美しく丈夫に育成するかがポイントとなります。また水草本来の持つ鮮やかな発色を引き出させるためにも、一般的な水槽機材の他に水草育成用の機材を使う必要があります。
水草の育成には欠かせない
- 水草用照明
- CO2添加キット
- 水草用床底
- 肥料
について、筆者の使用感などを交えながらおすすめの機材をご紹介していきましょう。
ゼンスイ LED PLUS ストロングホワイト
水草を育成する上でまず必要になるのが照明です。水草用の照明は光合成できるだけの強力な光を出すだけでなく、光の波長が水草の育成を促すのに最適なものに設定されているなど、水草のことを考えた照明になっています。水草を育てるならば専用の照明を用意しましょう。
水草用の照明についてはコチラの記事も参考にしてください。
数ある水草用照明の中で、特におすすめしたいのがゼンスイ社のLED PLUS ストロングホワイトです。
水草用の照明といえばネイチャーアクアリウムを提唱しているADA社の照明がよく名前に上がりますよね。ADA社の照明が素晴らしいことはもちろんなのですが、いかんせん高価格なのがネックで、手が届かないという方も多いのではないでしょうか。
そんな時に非常におすすめできるのが、こちらのゼンスイ社の照明です。
水草の育成に必要な光量も十分に備えていますし、何より光の色合いが美しく水槽の水を透明度の高い綺麗な水に見せてくれます。
CO2添加キット
CO2添加キットは水中にCO2を添加するための機材です。植物の光合成にはCO2が欠かせません。それは水草も同じで、水草を育成するためには水中にあえてCO2を送り込んでやる必要があります。
CO2添加についてはコチラの記事も参考にしてください。
CO2添加キットでもやはりよく名前が挙がるのはADA社の製品で、筆者の使用感としてもADA社のCO2添加キットが1番優れていると思います。使いやすいですしCO2用の細かいパーツも揃っていますから安心して使用できるでしょう。
ただし、照明でもお伝えした通りADA社の製品は高額。価格的にもう少し抑えたものが欲しいということであれば AIネット社の製品がおすすめです。
特にCO2を拡散する製品はよくできており、しっかりCO2を水槽全体に送りこむことができます。筆者も使用していますがコスパも高く良い製品です。
余談ですが、最近では発酵式CO2も注目されています。これについてはまだ使用経験がありませんので、使用したらレビューしたいと思います。
水草用底床
本格水草水槽を楽しむための底床選定は非常に大切です。
数ある底床の中でも水草育成にはソイルがおすすめされることが多いです。ソイルは土を焼き固めた粒状の底床材で、水草の根が張りやすく、またソイルの中にも栄養を蓄える力があるため水草の育成に向いているとされています。
ソイルについてはコチラの記事も参考にしてください。
ソイルにも栄養を蓄える栄養系や水の汚れを吸着する吸着系など種類がありますが、筆者としては、水草には栄養系ソイルを中心に底床を選定することをおすすめします。
吸着系ソイルは、栄養が出過ぎることがなく水もクリアになるため管理は非常に楽ですが、どうしても水草の成長に陰りが生じてしまいます。足りない栄養を液肥添加で上手に管理していくこともできますが、栄養量が少ないことで微妙に水草の求める水質から外れてしまう様に感じるのです。
このことから総合的に考えて、水草には栄養系ソイルをおすすめしています。
水草用液肥
水草の育成に肥料は必須アイテムです。
水草の肥料には液体と固形のタイプがありますが、効果の持続期間や使うタイミングが異なるため両方をうまく使い分けていく必要があります。
固形肥は底床の中に埋めて使用するもので、主に水槽の立ち上げ時やレイアウト変更などのタイミングで使用します。栄養が足りていない水草の下に埋めることで、ピンポイントに追肥ができますが、微調整が効きません。一方液肥はそのまま水槽の水に混ぜて使用するもので、手軽にまんべんなく水草に栄養を行き渡らせることができます。しかし液肥だけだと栄養が足りない場面が出てきてしまうことも…。
そこで、普段の肥料添加には液肥を使い、要所で栄養が足りないと感じたら固形肥を追加していくといった使い方が一般的です。
水草の肥料についてはコチラの記事も参考にしてください。
水草を美しく育てる上では、特に液肥のあげ方が重要なポイントになります。水草の色や状態を見て、色が少し薄くなってきた…元気がないかも…などと感じたらそれは栄養不足のサイン。液肥を添加して解消してあげましょう。すぐに栄養を与えられるのも液肥のメリットです。
栄養は不足すればすぐに水草の色が悪くなってしまいますし、多すぎれば水槽全体のバランスを崩してしまいます。液肥は水槽の状態を見ながら栄養の細かい微調整をするのに最適です。水草の様子を見ながら窒素、カリウム、鉄分などを水草の種類に応じて添加していきましょう。
本格水草水槽を設置するための予算感
一概に予算をお伝えするのは難しいですが、本格水草水槽を作るなら90センチ水槽で最低でも30万円〜という価格帯となります。
機材メーカーや水槽内の生き物やレイアウト素材によって変動しますが、このくらい予算がかかるという、目安にしていただければイメージしやすいのではないかと思います。
水草水槽の始め方についてはコチラの記事も参考にしてください。
サンゴ水槽に必要な機材
サンゴの飼育には専門的な機材が多数必要です。
- サンゴ用照明
- プロテインスキマー
- カルシウムリアクター
- サンゴ用添加剤
といったサンゴ飼育に必要な機材について解説していきます。
サンゴ用照明
石のような見た目のサンゴですが、生き物なのでサンゴの育成にも専用の照明が必要です。
ソフトコーラルのみを育てるなら、ゼンスイ社のシャイニングブルーがおすすめ。シャイニングブルーはまるで海の中のような深いブルーを演出してくれるだけでなく、サンゴや海水魚の色を美しく引き出してくれます。
しかし、ミドリイシなどの高い飼育スキルが必要なサンゴを育成させるのであれば、もっと光の光量が高く波長を変化させることができる照明を用意しましょう。フルスペクトルの照明があれば完璧です。
こちらの商品はハイエンドモデルですが、手頃なフルスペクトルLEDも増えてきています。水槽のサイズにあったものを選んで使用することが大切です。
サンゴ用の照明についてはコチラの記事も参考にしてください。
プロテインスキマー
プロテインスキマーは、海水魚水槽に設置するろ過装置の一種で、水の汚れを除去し綺麗にしてくれます。
サンゴ育成には必須というわけではなく、ソフトコーラルを飼育するだけであれば無くても全く問題ありません。
しかし、照明でも触れましたがミドリイシ類のような難しいサンゴを飼育するのであれば、用意することをおすすめします。
プロテインスキマーについてはコチラの記事も参考にしてください。
カルシウムリアクター
カルシウムリアクターは、サンゴの育成に必要なカルシウムを自動的に供給してくれる大変便利な装置です。
ミドリイシ類などサンゴの種類によっては必須のものもありますが、基本的には無くても問題なく、不足しがちなカルシウムは添加剤で補うことが一般的です。
しかし、カルシウムリアクターはKH、いわゆる炭酸塩硬度を維持するには非常に有効で、ミドリイシを飼育管理するときには、この炭酸塩硬度の維持が1番重要な課題となります。
ミドリイシを本格的に複数飼育をするならば、カルシウムリアクターを用意することをおすすめします。
カルシウムリアクターについてはコチラの記事も参考にしてください。
サンゴ用添加剤
サンゴ用の添加剤ですが、こちらは使い方が非常に難しく、筆者は基本的にあまり使用していません。
というのも、有効的にサンゴ用添加剤を使用するには、水中に必要な成分をしっかり測定し見極めて添加しなければならず、そのためには水中のすべての成分を計測するというかなりの手間がかかります。添加の仕方を間違えれば逆効果となることもあるため、なかなか有効に使用することは難しいです。
サンゴ用添加剤についてはコチラの記事も参考にしてください。
この難易度の高さから、筆者はサンゴ用の高濃度人工海水を使って水中の成分バランスを取る様にしています。
人工海水についてはコチラの記事も参考にしてください。
サンゴ水槽を設置するための予算感
水草水槽同様、あくまで概算となりますが、サンゴ飼育の最高峰であるミドリイシを本格的に育成させようとすると50万円〜となります。
ミドリイシの種類や量によりここは大きく変動しますから、あくまで目安です。
ただ、基本的に本格水草水槽を設置するよりも、費用がかかることは間違いないと考えてよいでしょう。
サンゴ水槽の始め方についてはコチラの記事も参考にしてください。
まとめ: 【本格水槽対決】水草水槽とサンゴ水槽!魅力をアクアリスト目線で解説!
いかがでしたか。
本格水草水槽、サンゴ水槽それぞれの魅力や予算感が伝わったでしょうか。
予算的に考えれば、本格水草水槽の方がややリーズナブルで始め手を出しやすい印象ですが、それでも本格的なものを目指すのであれば数十万円〜となります。
また、水草水槽のパイオニアADA社の製品で全てを揃えようとすれば、その予算は大きく跳ね上がり、ミドリイシ飼育水槽の予算に匹敵する可能性すらあります。
サンゴ水槽の方が予算はかかる可能性がありますが、ミドリイシ以外のサンゴであれば本格水草水槽と同じくらいの予算で始めることも可能です。
どちらも美しい水槽ですので、最終的には自分の好みのもの、長く愛せるものを選ぶことをおすすめします。
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